自分と社会課題を繋げる

自己分析が完了し、やりたいこと・学びたいことが少しずつ絞れて来たら「やりたい、学びたいことを自分なりに深める」フェーズに入っていきたいですね。

受験的なノウハウでいけば「テーマを自分自身で探究する=活動実績をつくる」と表現することもできるかもしれませんが、自己分析を通して自分の学びたい内容や実現したいことが決まってきたら、次はそれをもっと具体的にして深めていかなければなりません。

そして総合型選抜入試では、私は高校生ながら、こんな活動をしてきました!とアピールできる状態を目指したいところです。

しかし、ここでよくあるパターンは「なんとなく学びたい領域・分野は決まったけど・・・」という状態で止まってしまう人です。

大学や学部から自分の進路を考え始めた人は、特にこうなるケースが多いです。

ここで1つのブレイクスルーになるのが「解決したい社会課題を考える」という作業です。

 この記事では自分が学びたいことをより明確化し、テーマを決定していくために「自分と社会課題をつなげる」ことについて書いてみたいと思います。

解決したい社会課題を発見する

そもそも学問は基本的に、社会の課題を解決するために発達してきた側面があります。

何を学びたいのか、研究したいのか考えることは、つまるところ社会に対してどのような貢献がしたいのかを考えることと一緒です。 

憧れの大学・学部は決まっているが、そこで何を研究したいかはよく分からないという人は、研究テーマを考えるのではなく、解決したい社会課題を考えてみてください。

社会課題と聞くと抽象的でとっつきにくいイメージを持つかもしれませんが、自分の家庭や学校の中にあるちょっとした疑問や課題から、地元レベル、国レベル、世界レベルまでスケールは様々です。

まずは身近なところから、自分が納得のいかないことや、もっと良くしたいことなどに思いを巡らせてみるとよいでしょう。

また、そのためには「インプット」も非常に重要です。

例えばテレビやネットのニュースで見かけたこと、偶然に人から聞いた話、たまたま街で見かけた光景など、色々なところに自分の探究テーマの種は存在しています。

しかし、そういった物事を多く見聞きしようと心がけている人と、そうではない人では、当然ながら気づけることの量にも差が出てきます。

積極的に自分から多種多様な情報に大量に触れていくことを心がけてみてください。

自分が解決したい社会課題が見つかれば、そこからは速いものです。

その課題解決のためには、どのような知識・スキルが必要なのか、逆算して考えることで、自然と大学で自分が学ぶべきことも分かってきます。

社会課題解決という遠くのゴールを設定することで、そのプロセスとしての大学での研究が明確になってくるのです。

「え、研究テーマなんて大学に入ってから学べばいいんじゃないの?」「社会課題なんて自分には考えられないよ」などと思う人もいるかもしれませんが、それでは総合型選抜での合格は遠のきます。

総合型選抜入試は、そもそも自分が研究したいことありきの入試です。

研究したいことがあるということは、それを経て成し遂げたいことがあるのと同義であり、入試を担当する大学の教授陣も、そこまで見ています。

よって、この研究テーマの明確化(そして具体的な高校生としての研究活動)は総合型選抜入試に挑戦するうえでは必須の作業なのです。

そして、そこが決まるからこそ、高校生のうちにどのような活動をすればよいか、つまり活動実績の内容も明確になってくるわけです。

活動実績って必要なんですか?

少し話が逸れますが「活動実績づくりって本当に必要なんですか?」という質問をよくいただくので、ここで少し書いておきたいと思います。

例えば社会課題について考え、地元の過疎化に問題意識を持ったとします。

そこで、大学では地方創生について学んで、地元を活性化したいという研究テーマを自分なりに定めることができたとしましょう。

さて、自分なりに解決したい社会課題を掲げ、そのために必要な大学での学習計画も策定できたわけですが、このプランだけを書類に書き、アピールすれば総合型選抜入試に合格できるでしょうか?

答えは否です。

どのような試験になるか想像してみてください。

様々な試験スタイルがありますが、例えば書類であれば「自己アピール2000字」などがあります。自分が学びたい地方創生について、何の勉強も活動もしていない人が2000字の文章を熱意を込めて書けるでしょうか?

面接であれば「今まで地元の活性化のためにどんな活動をしてきたの?」などと質問されます。何もしてこなかった人が面接官からどんどん飛んでくる質問に対して、何を話せるでしょうか?

「本気で学びたいことがあるのであれば、もうそれについて高校時代から少しずつでも探究や活動をしてますよね?本気でやりたいことですもんね?」というのが、大学側の基本的なスタンスです。

高校生の自分、大学生の自分、社会に出た自分の中に、一貫した軸があることが非常に重要です。
であれば、高校生のあいだに、自身が設定したテーマについて、高校生なりにできる探究活動に一生懸命に取り組むことは、非常に重要であることは言うまでもありません。

もちろん、ただ「実績づくり」という安易な発想ではなく、自分がやりたいことと徹底的に向き合うという姿勢が何より大切であることは忘れないでいただきたいところです。
総合型選抜は決して華美な実績が称えられる入試ではありません。自分が目指す未来に向かって一貫した活動をしていることが大学教授陣が最も見ているポイントではないでしょうか。