目標・志望校を見つける

総合型選抜(AO入試)の対策はいつから開始?

総合型選抜入試(AO入試)は「年内入試」とも呼ばれる推薦入試の一種です。

大学が作成した試験を受験する一般入試よりも早く選考が始まり、合格通知も早くもらえます。出願時期は概ね9月~11月頃で、合否は遅くても年内には分かります。

では、そのような早期の入試に対して、いつから対策を開始すればよいのでしょうか?そして何を対策しておけばいいのでしょうか?

ざっと必要な対策と時期を列挙すると下記にようになります。

 

<具体的な対策内容と時期>

    対策① 評定平均値【時期:高1の最初の定期試験から】

    対策② 自己分析【時期:高1のうちに完了が理想】

    対策③ テーマを自分自身で探究する=活動実績をつくる【時期:受験直前まで継続】

    対策④ オープンキャンパスなど大学調査【時期:高2の秋まで】

    対策⑤ 書類作成や各種試験対策【時期:高3になってから】

 

総合型選抜では、様々な尺度で学生が評価されます。基本的には大学が設定しているアドミッションポリシーにしっかりとマッチしているかどうかをチェックしつつ、プラスアルファの意欲や能力や実績や基礎学力を評価する「多面的な人物評価」です。

その大学で学ぶに値する資質やスキルを、高校生活でどのように培ってきたのかは大きなポイントになります。

よって、対策は1日でも早く開始したほうがよく、高校入学の瞬間から準備が始まっているといっても過言ではありません。

例えば出願条件の1つとして設けられることが多い「評定平均値」などは、高1,高2の過ごし方が大きく影響します。

つまり高校入学直後から、過ごし方を間違えると、それだけで総合型選抜入試に出願すらできなくなる大学学部はたくさん存在するのです。

とはいえ、上記のように高校入学後からきっちり準備している人は多くありません。高3になってから総合型選抜に興味を持ち、そこから活動を開始して合格した人もたくさんいます。

専門塾の力を借りることなどで、効率的かつ効果的な対策ができ、短期で合格を掴むことも可能なのです。

総合型選抜(AO入試)は自己分析から始まる

「総合型選抜の対策は、まず自己分析から始めよう」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?

しかし、なぜ自己分析が必要なのか、その理由や目的を深く理解しないまま開始してしまうと非効率が発生したり、入試で役立たない自己分析になってしまったりします。

この記事では、総合型選抜入試での合格を目指そうとしている受験生に向けて、自己分析をする意味と、効果的な方法を紹介していきます。

なぜ自己分析が必要なのか

総合型選抜入試で求められる人物像として、どんな大学でも共通していることは「その大学で学びたいという強い意志があり、具体的に研究したい内容が構想できている」人物です。

大学側は、その学生が自分の大学に入って入学したあとに、しっかり研究をしてくれるのか、その成果を出せそうか、そして大学卒業後に社会に貢献できる人物になり得るかを、書類や面接を通して確認しています。

受験生側は、説得力を持って大学に自分を売り込む必要があります。

A「私は貴学に入れたら〇〇の研究がしたいです」

B「私は貴学に入れたら〇〇を研究し、〇〇という社会課題を解決したいです」

C「私は貴学に入れたら〇〇を研究し、〇〇という社会課題を解決したいです。以前〇〇な経験をしたときに問題意識を持ったからです。」

D「私は貴学に入れたら〇〇を研究し、〇〇という社会課題を解決したいです。以前〇〇な経験をしたときに問題意識を持ったからです。困難にぶつかっても自分の〇〇な長所を活かして克服しています」

AさんからDさんまでの発言で、最も説得力があるのは当然Dさんですよね。

自分がやりたいことを語るのは当然大切です。

そこに『なぜやりたいと思ったのか、どんな原体験があるのか、それをやるためにどんな志や武器を持っているのか』が加わることで、相手を説得できるストーリーが初めて生まれます。

それらは自己分析ナシにはなかなか自覚することができないものが多いのです。

つまり、自己分析は、大学側に「説得力のあるあなたオリジナルのストーリー」を伝えるために不可欠な要素なのです。

自己分析の種類

総合型選抜対策として実施しなければならない自己分析を、当サイト独自の分類で紹介します。

➀問題意識分析

②興味好奇心分析

③ロールモデル分析

④自己特性分析

の4種類が総合型選抜において必要となる自己分析です。

➀問題意識分析

すべての学問は社会を良くするために存在すると言っても過言ではありません。

自己満足のための学びもあるでしょうが、研究を通して人間社会をより良くしていくために様々な学問領域が誕生しています。

つまり、大学での研究は、ほとんどが「社会課題の解決」に繋がっています。

言い換えれば、みなさんは社会課題を解決するために大学に入学して研究をするとも言えるわけです。

そこで重要なのが「あなたが課題を感じる社会問題は何か」という視点です。

つまり、世の中のどのようなことに、どのような問題意識を持っているのか。これが重要です。

例えば、南極の氷が溶けてホッキョクグマの生息地が減少していることに強く心を痛める人がいるかもしれません。

独居老人が孤独死を遂げたニュースを見て、それをなんとかできないものかと悩んだことがある人がいるかもしれません。

普段生活する中で、自分がどのようなことに課題や問題意識を持つのか、是非考えてみてください。

具体的な方法は、簡単なところでは新聞・ニュースに日々しっかりアンテナを張り、自分の心が動かされるものがないか調べてみてください。

このときにオススメなのは「少し気になったことを深堀りしてみる」姿勢です。

ニュースを見て、その瞬間から、それが自分が人生を賭けて解決すべき課題だと奮い立つ人はいないでしょう。

「あ、これは気になるな」と少し引っ掛かるものがあったとき、是非それをさらに調べてみてください。ネット検索もよし、知人と討論してみるもよしです。

深く知っていく中で、どんどんそれを追求したい気持ちが出てきたら、それがあなたにとって大切な問題なのかもしれません。

②興味好奇心分析

上記のように問題意識や課題解決の意志はなくても「とにかく〇〇が好き」という人もいます。それももちろんアリです。

自分の興味・好奇心をくすぐられるものがないか内省してみることも自己分析の1つの手法です。

例えば「アニメが好き」という人がいたとします。

「好き」なだけで終われば、それは趣味であり、学問にはなりません。

しかし「なぜアニメがこんなに人を魅了するのか知りたい」「アニメはどういう歴史をたどってきたのか知りたい」「アニメがどのように世界に広まっているのか知りたい」とアニメについてもっと深く知りたいという気持ちがあれば、それは学問領域に足を踏み込んでいくことになります。

自分が興味・好奇心を持って没頭できるものがある人は、それをさらに深堀りして研究したとしたら、どんな研究ができるかを1度考えてみるといいでしょう。

また調べてみると、一見趣味のように見えることを懸命に研究している大学教授もたくさんいます。そういった教授のプロフィールなどを調べてみると参考になることもあるかもしれません。

③ロールモデル分析

②と少し似ていますが、一言で言うと「あの人みたいになりたい」と思う憧れの人物=ロールモデルを探してみる方法です。

起業家でも、環境活動家でも、政治家でも、世の中にはエネルギッシュに活動している大人がたくさんいます。「自分のあんな風になれたらな」と思う純粋な気持ちは大切です。

もしそのような人が見つかれば、その人がやっていること、学んできたことなどを調べてみると、大学で自分が何を学ぶべきかも見えてくることがあります。

また、自分が今から行動すべきことや、心がけるべきことなども、かなり具体的にイメージしやすいのが、このロールモデル分析の良いところです。

もちろんロールモデルをただ模倣するだけでは、総合型の入試的にも、自分の充実度的にも、本質的なものにはなりません。

例えば、その人物と手法は一緒だけど分野を変えるとか、逆に分野は同じだけどアプローチを変えるとか、自分らしさに基づいた方向性が見えると良いでしょう。

ロールモデルの見つけ方も、まずは日々情報のアンテナを張ることです。テレビの特集などで発見することもあれば、書店で目に留まった本の著者であることもあるかもしれません。

また自分の興味領域がある程度決まっている人であれば、その分野のエキスパートを片っ端から調べてみるのもよい方法です。

さらに数名ロールモデルが見つかったら、その人のSNSをフォローして活動をチェックしたり、機会があれば講演会などで直接話を聞ける場に出向くこともアリです。

④自己特性分析

一般的に「自己分析」と言われるものは、この自分の性質を理解する分析を指します。

自分の強み、弱み、性格などを客観的に把握しておくことで、自分の進路が充実したものになる可能性が高まります。

例えば「やりたいことだけど、自分の強みが発揮できないこと」はやりたい気持ちは強いのになかなか上手くいかない場面が多く、途中で心が折れる可能性があります。

「感性を大事にするタイプなのに、全部数字で理屈を組み立てなければいけないことばかり」だと、気持ちが前向きになれず疲れてしまうかもしれません。

自分の特性とやりたいことのマッチングが良ければ、それを長く楽しく続けられるようになりますが、そうでなければネガティブな状態に陥るリスクがあります。

「自分は〇〇なことに喜びを感じる人間で、〇〇な強みがあり、それがこの研究を進めていくうえでばっちりハマるんです!」ということになれば、自分の充実に繋がるだけでなく、総合型選抜における説得力の強化にも繋がるでしょう。

そのために、自分を知ることは重要です。

自分を知る方法には様々な方法があります。

・モチベーショングラフを描いて、自分が過去にどのように困難を乗り越えたか=どんな強みを使って対処したか書き出してみる

・性格診断(エニアグラム、ストレングスファインダーなど)を使ってみる

ネットで少し検索すると、WEBテストでできる就職活動生向けの性格診断がたくさんヒットします。そのようなものを利用してみるのも良いでしょう。

今回は自己分析の意義と、その具体的な分類・手法を紹介しました。

これまで自分のことを深く知ろうと時間をかけたことはあまりないと思いますが、総合型選抜の対策は、ひとつのいい機会です。

受験のためではなく、自分の人生の充実につながる、意味のある行為です。

自分の理想の未来をつくるために、自己分析にトライしてみてくださいね!

やりたいことがないと受験できない?

総合型選抜入試(旧AO入試)は一般入試のようなペーパーテストではなく、受験生が大学に向けて自分が大学で学びたいことをアピールして合格を掴みとる入試です。

将来こんな社会課題を解決したい、こんな研究者になりたい、こんな勉強がしたい

と自分の目標と照らし合わせて、その大学に入る意義を説明できなければなりません。

では、いま現在やりたいことがない、将来の夢もないという人は総合型選抜入試を受験できないのでしょうか?

その状態で受験はできない。でも準備はできる。

結論を言えば「その状態で受験を迎えると合格は難しいが、総合型選抜入試を目指すことはできる」と言えるでしょう。

何もやりたいことがない人が、総合型選抜で例えば面接試験を迎えたとして、大学教授からの質問に答えられるかと言えば答えられません。ましてや熱意をもって伝えることもできません。

しかし、いまやりたいことがはっきりしていなくても、総合型選抜のために準備を開始することはできます。

総合型選抜の受験の検討をひとつのきっかけとして、自分自身がやりたいことは何なのか、どんな大学生、社会人になっていきたいのか真剣に考え始めることができるはずです。

実際、総合型選抜の対策を開始する段階で、明確に自分のテーマが決まっており、それに向けてバリバリ活動できている高校生はそれほど多くありません。

総合型選抜対策が、自分探しの入口になれば、その人にとっては総合型選抜入試が、人生において貴重なターニングポイントになるかもしれません。

やりたいことがない人に、足りないこと

そうは言っても、そんなに簡単に自分のやりたいことが決まることはありません。

しかし、行動しなければ、ずっとやりたいことは見えてこないままです。

やりたいことがない、将来の目標がないという人に多い傾向としては、そもそもインプットが足りないということが挙げられます。

例えばやりたいことが決まっている人に、それをやりたいと思ったきっかけを尋ねるとどのような答えが返ってくるでしょうか?

・以前に〇〇な体験をしたから

・〇〇という人物に憧れているから

・〇〇な世の中を正したいと感じるから

ほんの一例ですが、こんな答えが返ってくることが多いです。

これはそもそも「色々な体験をした、色々な人を知った、色々な社会課題を認識した」という、その人なりのインプットがあったからこそ発生した動機だと思いませんか?

たまたま何か1つの体験学習をして、それがいきなり自分の人生の目標になる可能性は低そうですが、10個ぐらいの体験学習をする中で、何か大きく心を動かさられるものが1つ見つかる可能性は十分にありそうです。

例えば、多くの著名人のセミナーに参加した経験がある人と、そういった場に足を運んだことがない人が、ある人物に憧れる確率を比べても、当然前者のほうが憧れを抱く人物に出会える可能性が高いように思えます。

自分の目標を見出すためには、様々なコトを知る、様々なヒトを知る、様々なモノに触れる、というインプットが多ければ多いほうがいいのではないでしょうか。

もちろん、ある日ふと目にしたものに心を奪われることや、ある日たまたま話をした人に憧れることもあるでしょう。

しかし「待ち」の姿勢でいる限り、自分の心が動く確率は低いままです。

自分の何かを変えたければ、インプットのために、自分から積極的に情報をキャッチしに行く必要があります。

やりたいことがないなら、動こう

まとめると、結局総合型選抜の受験に向いている人は、ある程度「積極的」「活動的」な人であると言えます。

積極的だから自分の目標に近づけるのか、目標に近づくために積極的であるよう心がけているのか、これは人それぞれでしょう。

やりたいことがなくてモヤモヤしている人は、是非行動を開始しましょう。

少しでも気になったことがあれば、調べる、見に行く、聞きに行く。

そうやって自分の知見を広げながら、少しずつ自分が本当にやりたいことに近づいていく感覚です。

現代はSNSもあり、情報収集は非常に簡単になりました。そういったツールも活用しつつ行動してみましょう。

ここまでの記事を読んで「自分にはそんなことできない」と思った人の選択肢は、①総合型選抜を諦める ②総合型選抜対策の塾に入る のいずれかを選ぶ必要があるでしょう。

総合型選抜の塾は、そういった自分探しのサポートをしてくれます。仮に消極的な受験生だったとしても、その人の過去の経験や思考などを一緒に紐解き、その受験生の強みや好みなどを見つけてくれます。

さらに、それを活かせる研究テーマや、その具体的活動方法などを適宜アドバイスしてくれるはずです。

自己分析をなかなか自分一人でやるのは難しいものです。第三者の客観的な視点からコメントもらうことによって、意外な自分の一面に気づけることもあります。

総合型選抜は真剣に向き合えば、大学合格以外にも得られるものがたくさんあります。自分の人生や目標を突き詰めて考える行為自体、なかなか普通の高校生がおこなうことではありません。

いまやりたいことがないからと言って、それで総合型選抜が受験できないわけではありません。

総合型選抜の受験を利用して、自分の進路を見出していきましょう!

自分と社会課題を繋げる

自己分析が完了し、やりたいこと・学びたいことが少しずつ絞れて来たら「やりたい、学びたいことを自分なりに深める」フェーズに入っていきたいですね。

受験的なノウハウでいけば「テーマを自分自身で探究する=活動実績をつくる」と表現することもできるかもしれませんが、自己分析を通して自分の学びたい内容や実現したいことが決まってきたら、次はそれをもっと具体的にして深めていかなければなりません。

そして総合型選抜入試(AO入試)では、私は高校生ながら、こんな活動をしてきました!とアピールできる状態を目指したいところです。

しかし、ここでよくあるパターンは「なんとなく学びたい領域・分野は決まったけど・・・」という状態で止まってしまう人です。

大学や学部から自分の進路を考え始めた人は、特にこうなるケースが多いです。

ここで1つのブレイクスルーになるのが「解決したい社会課題を考える」という作業です。

 この記事では自分が学びたいことをより明確化し、テーマを決定していくために「自分と社会課題をつなげる」ことについて書いてみたいと思います。

解決したい社会課題を発見する

そもそも学問は基本的に、社会の課題を解決するために発達してきた側面があります。

何を学びたいのか、研究したいのか考えることは、つまるところ社会に対してどのような貢献がしたいのかを考えることと一緒です。 

憧れの大学・学部は決まっているが、そこで何を研究したいかはよく分からないという人は、研究テーマを考えるのではなく、解決したい社会課題を考えてみてください。

社会課題と聞くと抽象的でとっつきにくいイメージを持つかもしれませんが、自分の家庭や学校の中にあるちょっとした疑問や課題から、地元レベル、国レベル、世界レベルまでスケールは様々です。

まずは身近なところから、自分が納得のいかないことや、もっと良くしたいことなどに思いを巡らせてみるとよいでしょう。

また、そのためには「インプット」も非常に重要です。

例えばテレビやネットのニュースで見かけたこと、偶然に人から聞いた話、たまたま街で見かけた光景など、色々なところに自分の探究テーマの種は存在しています。

しかし、そういった物事を多く見聞きしようと心がけている人と、そうではない人では、当然ながら気づけることの量にも差が出てきます。

積極的に自分から多種多様な情報に大量に触れていくことを心がけてみてください。

自分が解決したい社会課題が見つかれば、そこからは速いものです。

その課題解決のためには、どのような知識・スキルが必要なのか、逆算して考えることで、自然と大学で自分が学ぶべきことも分かってきます。

社会課題解決という遠くのゴールを設定することで、そのプロセスとしての大学での研究が明確になってくるのです。

「え、研究テーマなんて大学に入ってから学べばいいんじゃないの?」「社会課題なんて自分には考えられないよ」などと思う人もいるかもしれませんが、それでは総合型選抜での合格は遠のきます。

総合型選抜入試は、そもそも自分が研究したいことありきの入試です。

研究したいことがあるということは、それを経て成し遂げたいことがあるのと同義であり、入試を担当する大学の教授陣も、そこまで見ています。

よって、この研究テーマの明確化(そして具体的な高校生としての研究活動)は総合型選抜入試に挑戦するうえでは必須の作業なのです。

そして、そこが決まるからこそ、高校生のうちにどのような活動をすればよいか、つまり活動実績の内容も明確になってくるわけです。

活動実績って必要なんですか?

少し話が逸れますが「活動実績づくりって本当に必要なんですか?」という質問をよくいただくので、ここで少し書いておきたいと思います。

例えば社会課題について考え、地元の過疎化に問題意識を持ったとします。

そこで、大学では地方創生について学んで、地元を活性化したいという研究テーマを自分なりに定めることができたとしましょう。

さて、自分なりに解決したい社会課題を掲げ、そのために必要な大学での学習計画も策定できたわけですが、このプランだけを書類に書き、アピールすれば総合型選抜入試に合格できるでしょうか?

答えは否です。

どのような試験になるか想像してみてください。

様々な試験スタイルがありますが、例えば書類であれば「自己アピール2000字」などがあります。自分が学びたい地方創生について、何の勉強も活動もしていない人が2000字の文章を熱意を込めて書けるでしょうか?

面接であれば「今まで地元の活性化のためにどんな活動をしてきたの?」などと質問されます。何もしてこなかった人が面接官からどんどん飛んでくる質問に対して、何を話せるでしょうか?

「本気で学びたいことがあるのであれば、もうそれについて高校時代から少しずつでも探究や活動をしてますよね?本気でやりたいことですもんね?」というのが、大学側の基本的なスタンスです。

高校生の自分、大学生の自分、社会に出た自分の中に、一貫した軸があることが非常に重要です。
であれば、高校生のあいだに、自身が設定したテーマについて、高校生なりにできる探究活動に一生懸命に取り組むことは、非常に重要であることは言うまでもありません。

もちろん、ただ「実績づくり」という安易な発想ではなく、自分がやりたいことと徹底的に向き合うという姿勢が何より大切であることは忘れないでいただきたいところです。
総合型選抜は決して華美な実績が称えられる入試ではありません。自分が目指す未来に向かって一貫した活動をしていることが大学教授陣が最も見ているポイントではないでしょうか。

自分に適した受験校・学部の見つけ方は?

では総合型選抜入試(AO入試)での受験を決めた人が、どのように受験校を決めていけばよいのか、その方法を紹介したいと思います。

今回紹介するのは、受験戦略的な見つけ方(受かりやすそうな大学学部探し)ではなく、自己実現に近づける大学学部の選び方です。

(当然ながら総合型選抜入試はこういう状態の人が受けるべき入試ではありますが)自分のテーマがかなり明確になっている人が、大学学部選びを考えるときのヒントを紹介します。

1.学問領域の把握

まず自分のテーマが学問領域としてどこに該当するのか理解しましょう。

例えば、日本文学に興味があるといっても、特定の作品について研究したいのであれば日本文学科になりそうですが、海外文学との比較研究であれば比較文化などの領域にもなり得ます。

自分がやりたいことをなるべく細かく掘り下げていくと、その領域が徐々に明確になります。

そのうえで、各大学において、その領域が何学部何学科に分類されているのかを調べてみましょう。例えば心理学系などは、大学によって文学部に属していたり社会学部に属していたり、それぞれです。

これは大学のHPを調べたり、オープンキャンパスで質問をしてみるとよいでしょう。

2.教授・論文を知る

次にできることは、自分が興味のあるテーマに関しての先行研究をおこなっている人や、その研究内容を調べてみることです。

もちろん各大学のホームページで教授の情報を調べることはできますが、それを全て見ていくのは時間がかかります。

例えば、「科学研究費助成事業データベース(KAKEN)」を見たことはあるでしょうか?

こちらのサイトにアクセスし、自分の興味があるテーマに関するキーワードで検索をしてみましょう。

たくさんの研究者やその論文タイトルがヒットするはずです。

それを順番にチェックしながら、自分のテーマと近しいものをピックアップしてみます。そしてその研究者や論文の執筆者が、どの大学に所属しているのかを見ることで、「〇〇大学の△△研究室であれば自分のやりたいことができるのではないか」というものが見えてくることがあります。

また大学選びとは関係なく、自分のテーマについての見識を深めることもできるため、一石二鳥です。

3.塾の先生、高校の先生、先輩に聞く

自分で調べてもよく分からなかったら、人に頼りましょう。

例えば塾の先生であれば、受験方式なども含めて、生徒に適した大学学部のアドバイスをしてくれるかもしれません。

高校の先生は、過去の生徒情報を教えてくれ、場合によっては大学在学中の先輩を紹介してくれることもあります。

自分と同じテーマを掲げている先輩ではなくても、その先輩が通っている大学にどのような授業、研究室があるのかはもちろん実際に体験し、知っています。

自分がやりたいことを伝えて、それが実現可能かどうかアドバイスをもらうことはできるかもしれませんし、大学の雰囲気などを教えてもらうこともできるでしょう。

昔よりも情報収集がしやすくなったとはいえ、大学のホームページだけに頼っていては、細かい情報は得られませんし、検索の所要時間もかかります。

他にも色々な情報収集の手段があります。時間はかかりますが、手広く調査をすることで理想的な志望校と出会える確率が増えていきます。

もちろん、ある程度候補が絞れたら、実際にキャンパスの雰囲気を感じるべく、オープンキャンパスに足を運んでみましょう。例年夏と秋に開催されますので、できれば高1の夏から色々と見ておきたいところです。

ただキャンパスを歩くだけでなく、公開授業などがあれば積極的に参加しましょう。

時間をかけなければ納得のいくゴールは簡単には見えてきません、
是非自分の未来のためにも納得いくまで大学学部探しをしてみてください。

国公立の総合型選抜は難しい?

慶應義塾大学のSFCがAO入試を導入したことが印象強く、総合型選抜は私立大学でしか実施されていないと思っている方も多いのですが、そんなことはありません。多くの国公立大学でも総合型選抜が実施されており、その数は100大学を越えています。

国公立大学の総合型選抜の形式

国公立大学の総合型選抜の形式は大きく2つに分類できます。

➀共通テストの成績を必要とするケース

②共通テストの成績を必要としないケース

です。

共通テストの成績を必要とする➀のケースでは、他の私立大学などと同様に秋以降に書類審査や面接試験などの一通りの試験を受けて通過をしたうえで、1月の共通テストにおいて基準点をクリアしなければ最終的な合格が得られません。

国公立大学の総合型選抜は学力も大切

上記を読んで「じゃあ共通テストの成績が不要な国公立大学を受けよう」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、共通テストの成績が不要な場合は「評定」が必要になるケースが多いのが国公立大学の総合型選抜です。

もちろん全大学学部というわけではありませんが、難関大学になると「4.0以上の評定」が最低でも必要になるケースが多いと言われています。

一例として

お茶の水女子大学 新フンボルト入試:学習成績概評A(評定平均4.3〜5.0)以上が望ましい
東京工業大学 総合型選抜:評定不要。共通テスト、筆記試験も合否判定の材料とする
筑波大学 AC入試:評定平均・共通テストの結果ともに問わない

など、大学によってスタンスは様々です。

よって、私立大学の総合型選抜と比較して国公立大学の総合型選抜が難しいと一概に言うことはできず、自分の強み・やりたいこと・大学の環境などを総合的に考えて受験校を決定する必要があります。

国公立大学の総合型選抜も魅力的な選択肢のひとつになるかもしれません。