出願書類作成

<目次>

総合型選抜の出願時期はいつ頃か?

総合型選抜入試(AO入試)の出願時期の概要

1.出願時期

o 総合型選抜入試(AO入試)の出願時期は、通常9月から11月頃にかけて設定されていることが多いです。
o 出願期間は大学や学部によって異なるため、各大学の募集要項で詳細を確認する必要があります。

2.文部科学省の基本方針

o 文部科学省では、総合型選抜の出願開始時期について、「原則として9月1日以降」と定めています。
o これにより、高校生が高校での学びをしっかりと終えた上で出願できるよう配慮されています。

3.スケジュールの具体例

o 募集要項の発表:6月~8月
 各大学が募集要項を発表する時期で、出願資格や選抜方法などが記載されています。
o 出願受付:9月~11月
 提出書類(志望理由書、活動報告書、成績証明書など)を準備し、期間内に大学に提出します。
o 選考(面接・課題提出等):出願締切後から12月頃まで
 書類審査や小論文、面接、プレゼンテーションなど、大学によってさまざまな選考方法が行われます。
o 合格発表:11月~12月
 選考結果が発表され、合格者には入学手続きの案内が送られます。

注意点

o 総合型選抜は早い時期に選考が進むため、高校3年生の夏休み前から準備を始めることが重要です。
o 一度合格すると、他の入試方式(一般選抜など)への出願が制限される場合もあるため、出願前に進路をしっかりと考える必要があります。

総合型選抜は、受験生の熱意や適性が評価される入試形式であるため、計画的な準備が鍵となります。興味のある大学のスケジュールを早めに確認し、余裕を持った行動を心がけてください。

総合型選抜は出願条件を必ず確認

総合型選抜入試では、出願できる人の条件が大学や学部によって異なり、多岐にわたります。以下に、総合型選抜入試で一般的に見られる出願条件の具体例を挙げます。

1.基本的な条件

o 高等学校卒業見込みまたは卒業者
 出願時に高等学校を卒業している、もしくは卒業見込みであることが一般的な条件です。
o 成績に関する条件
 指定された科目や全体の評定平均値(GPA)が基準を満たしている必要がある場合があります。例として、「評定平均値が3.5以上」などが挙げられます。

2.活動や経験に基づく条件

総合型選抜では、受験生の個性や特定の分野での実績が重視されることも多くありますが、基本的な学力についての要件を満たしている必要があることもあります。
例えば、以下のような条件が課されることがあります。

(1) 学業や学力に関する条件
o 学校の成績が一定以上
例:「全体の評定平均3.5以上」など。
o 特定の科目で優れた成績
例:「数学で全国模試の上位10%に入った実績がある」など。
o 特定の資格を保持している
例:「英語検定準1級以上」「簿記2級以上」など。
o 科学オリンピックや学術大会での受賞経験
理系学部では、科学や技術関連の成果が条件となる場合もあります。
(2) スポーツ活動に関する条件
o 特定の競技での実績
例:「全国大会出場経験」「地域大会で優勝経験」など。
スポーツ系学部や体育系学部で多く見られます。
(3) 文化活動に関する条件
o 芸術や音楽の分野での成果
例:「コンクールでの入賞」「作品展示会への出品」など。
芸術系や音楽系の学部で求められることがあります。
(4) 社会活動やボランティア経験
o 地域活動やボランティアでの貢献
例:「地域の社会問題解決に取り組んだ経験」「特定のボランティア活動でのリーダーシップ経験」。
(5) 国際経験
o 留学経験や国際大会への参加
例:「海外留学の経験」「国際的なプロジェクトへの参加実績」など。
国際学部やグローバル関連学部で重視されます。

3.アドミッションポリシーの理解と適合性

o 大学や学部との適合性
例:「大学の特定プログラムに強く関心を持っている」「学びたい内容が明確である」など。
志望理由書や面接で表現することが求められます。
o 明確な将来像の提示
例:「地域医療を支える医師になりたい」「社会的課題の解決に寄与する研究者を目指す」など、具体的なビジョンを持っていること。

そのほか、大学によって異なるユニークな条件

• 東京大学:「公共政策や国際問題に関心を持つことが条件」など、テーマに応じた意欲が重視される。
• 京都大学:「独自の探究活動を行った経験」や「課外活動でのリーダーシップ」など。
• 地方の国公立大学:「地域貢献の意志」や「地域限定の就職希望」など、地域密着型の条件を設ける場合がある。

総合型選抜は多様な経験や個性を生かす入試形式のため、自分の強みを理解し、それを活かせる大学や学部を選ぶことが成功の鍵です!

総合型選抜で必要な出願書類

総合型選抜入試では、受験生の個性や適性を評価するために多岐にわたる出願書類の提出が求められます。以下に、総合型選抜入試で一般的に提出を求められる書類を具体的に挙げて説明します。

1. 基本的な書類

o 出願書(エントリーシート)
入試方式ごとに用意された大学指定の様式で、個人情報や希望学部・学科を記入します。
o調査書
出身高校が発行する公式な成績証明書で、高校での学業成績や出席状況、特記事項が記載されています。
o写真票
顔写真を貼付した書類で、本人確認のために必要です。写真のサイズや背景色など、大学が指定する要件に従う必要があります。

2. 評価対象となる書類

o志望理由書
大学や学部を志望する理由、学びたいこと、将来の目標を具体的に記述します。
活動報告書(課外活動報告書)
部活動やボランティア、コンテスト、留学経験などの課外活動を記述します。活動内容、遭遇した課題とその克服経験、具体的な成果、活動を通して得た学びや今後の課題などを具体的に書くことが求められます。
o 自己推薦書
自分の強みや特技、個性をアピールするための書類です。大学指定のフォーマットを使用する場合と、自由形式の場合があります。

3. 実績に関連する書類

o各種証明書
 語学や資格試験、コンテストなどの実績を証明する書類が求められる場合があります。
例:
・英語関連:英検、TOEFL、IELTSのスコアレポート
・コンテスト:入賞証明書、表彰状のコピー
・資格:IT関連資格、社会福祉士などの認定証
o 作品ポートフォリオ(芸術・デザイン系学部)
 絵画やデザイン作品、写真、音楽、映像など、自分の実績や創作物をまとめた資料。
o研究レポート(理系学部や研究重視の学部)
 高校での探究活動や自由研究の成果をまとめた報告書や論文。

4. 推薦に関する書類

o推薦書
出身高校の校長(場合によっては担任や顧問)が作成する推薦状で、受験生の人物像や活動実績を第三者の視点から評価します。
o指導者の評価書
部活動の顧問やクラブ指導者、課外活動団体の長などに作成してもらうこと必要になる、受験生の取り組みや成果に関する評価書。

5. 入学後のビジョンに関する書類

o学習計画書(研究計画書)
大学4年間でどのようなことを学び、どのような研究や活動を行いたいかを具体的に記述する書類です。
oキャリアプランシート
将来の進路やキャリアプランを具体的に示します。

6. その他の特定書類

o課題レポート
出願時に大学が指定する課題に対するレポートを提出する場合があります。テーマ例:「〇〇という社会課題の解決策を提案してください」など。
o健康診断書(医療・看護系学部)
健康状態を証明するための診断書が求められる場合があります。
o小論文(事前課題)
志望理由や特定テーマについての意見や考察を求める書類です。

注意点

• 書類の形式や内容は大学や学部ごとに異なるため、募集要項や大学の公式サイトを必ず確認してください。
• 提出書類の期限厳守はもちろん、誤字脱字や不備がないよう入念にチェックしましょう。
• 書類審査は総合型選抜の重要な評価ポイントなので、論理的かつ具体的な内容でアピールすることが大切です。

適切な書類の準備と完成度の高い内容は、総合型選抜で合格するための重要な要素です。早めに必要な書類を確認し、十分な時間をかけて作成しましょう!

志望理由書の書き方

総合型選抜入試において、多くの大学で提出書類のひとつに志望理由書が求められています。

また、仮に志望理由書が不要だとしても、面接で結局志望理由を聞かれるなど、総合型選抜において志望理由は大変重要なピースです。

この記事ではそんな志望理由書の作成において大切なことを紹介したいと思います。

なぜ志望理由が求められるのか

総合型選抜入試は、受験生と大学の相性を測る試験です。

受験生が大学で学びたいと思っていることが、本当にその大学学部で実現できるのか。その大学学部で学ぶための素養を身につけているのか。書類や面接を通して、大学側は受験生をよく観察して合否の判断を下しています。

志望理由書は「なぜこの受験生はうちの大学で学びたいのか、学ぶ必要があるのか」を大学側が知るための書類です。

志望理由の中身が「べつにうちの大学じゃなくてもいいんじゃない?」「そんな中途半端な想いで入学しても、この子は大成しなさそうだな」と思われてしまうものであれば、合格をもらえることはないでしょう。

その点をよく理解したうえで、受験生は自分の想いを伝える必要があります。

志望理由書の中に絶対に書くべき内容

志望理由書が合否の判断においてどのような意味を持つのかを確認したところで、具体的に志望理由書の中で表現したい項目を挙げてみます。

・その大学学部でなければならない理由

・その大学で学びたい具体的な内容や研究計画

・大学で研究を深める前段階として今現在注力していること

・そのような研究をしたいと思うに至った理由やきっかけ

上記が志望理由書の中で必要となるピースです。

ただし大学によっては志望理由書以外に「学習計画書」などを提出させるところもあります。そのようなときは志望理由書には細かい研究計画は書かず、学習計画書に記載します。

指定された制限字数などによって入れ込める内容は増減しますが、上記4点を意識してください。

中でも一番大切なのが「その大学学部でなければならない理由」です。

志望理由書はよくラブレターに例えられます。ラブレターを好きな人に渡すとき「まあ他の人でもいいっちゃいいんだけど、でも結構好きなんで付き合ってください」と書く人はいないですよね。「絶対にあなたじゃなきゃダメなんです!大好きなんです!」という気持ちを表現すると思います。

志望理由書を受け取る大学側の気持ちを考えてみてください。大学のことをよく調べていない、具体的に大学で何を学びたいのかも伝わってこない・・・そんな志望理由書を出してくる受験生に合格を出そうとは思いません。

ただし「その大学学部でなければならない理由」をはき違えてはいけません。例えば「尊敬する先輩が通っているから」「家が近いから」「就職率がいいから」などは、受験生本位な理由であり、本質的なものではありません。大学からすれば「だから何?」というレベルの内容です。

大学は研究機関であり、大学生は学びたい、研究したいことがあるから大学に通います。それが本質です。その本質に則った志望理由を持っていなければなりません。

ということで「その大学学部でなければならない理由」をもう少し掘り下げてみると

・その大学にしかない特長(施設や授業コンテンツ)に魅力を感じている

・その大学学部にいる教授に魅力を感じている

すなわち「自分の学び、研究を実現できる環境がある」というのが理由のど真ん中に表現されるべきかと思います。

それがしっかりと表現できたうえで、さらにそれを補強して相手に納得感を与える工夫をします。

そこで有効なのが「大学で研究を深める前段階として今現在注力していること」や「そのような研究をしたいと思うに至った理由やきっかけ」になります。

大学側の気持ちをまた考えてみましょう。

「●●を学びたくて、それが実現できるのは貴学だけなんです!入学させてください!」というアピールと

「●●を学びたくて、それが実現できるのは貴学だけなんです!その学びの前段階として私は既に■■な活動を続けています。なぜなら幼少期に△△な体験をして、絶対に学びたいと思ったからなんです。入学させてください!」

というアピールでは、やはり後者のほうが説得力や執念を感じますよね。

制限字数にはよりますが、「その大学でなければならない理由」がきちんと書けたら、あとはそこに説得力を加えられるようなピースを追加していきましょう。

上記内容を網羅できれば、他の受験生と差がつく、大学教授に伝わる志望理由書ができあがるはずです。

ただお分かりの通り、それには受験生が大学についてよく調査、研究することが不可欠です。

その大学でなければならない理由は、その大学のことも、それ以外の大学のことも調べて、比較して、魅力を探しださなければなりません。

教授の具体的な研究テーマや、授業のシラバスなども目を通す必要があるかもしれません。

そこまでやって初めて、自分の本気度が伝わる志望理由書が完成するということを覚えておいてください。

自己PRの書き方

総合型選抜入試の出願書類の中で「自己PR」を求められることがあります。この書類にはどんなことを書けばよいのか、どんな内容にすればいいのかを今回は確認したいと思います。

自己PRには何をどのように書けばいいのか?

自己PRですから、文字通り自分のことを大学側にPRする書類です。特に内容の指示がなければ何を書いてもいいわけですが、自由なだけに、相当内容を検討して書くべき書類になります。

一般的には、高校時代の探究活動実績を書くことになります。大学で学びたいことと、高校時代の活動が繋がっている人たちがこれに該当します。総合型選抜入試準備の王道を歩んでいる人たちです。

商学部に行きたい人が、ビジネスコンテストに懸命に取り組んで受賞したことを書く。地方創生を学びたい人が、地元での地域活性化ボランティア活動の経験を書く、などがこれです。

自分が実際に活動したことから気づいたこと、学んだこと、もっと学びたいことなどを丁寧に表現すれば、十分な自己PRが出来上がるでしょう。

特別な活動実績がない人の自己PR内容は?

苦労するのは総合型選抜入試に向けた活動実績が特にない人たちです。高3になって総合型受験を決めた人などは大体このパターンになります。

そして、自己PRと聞いて困り果て、部活や委員会、ボランティア活動などの経験を引っ張りだしてきて書くことになります。

ただし、この場合、書く内容には十分注意しなければなりません。

例えば、経営学部に入るための自己PR書類に、自分が運動部でキャプテンを務めた苦労や練習の工夫、試合での功績を熱い思いで書き綴ることは合格に近づく行為と言えるでしょうか?

例えそれが全国で1位2位という素晴らしい成果を上げていたとしても。見当違いだと思われます。

自己PRは志望理由にも似た性格を持つと認識してください。

「自分がすごいこと」をPRするのではなく、「自分がいかにその大学学部に対しての適性を持っているか」をPRする書類です。

その大学学部のことをよく研究したうえで、それと自分が繋がる要素を探し、そのフィールドにおける自分の功績や適性をPRしましょう。

先ほどの経営学部と運動部の例で言えば、例えばキャプテンとしてチームをマネジメントした成功体験をPRしたうえで、そこでの経験や学びを学術的に理解するために経営学部に入りたいと表現すれば、しっかりと経営学部に入りたい受験生としての自己PRになり得るでしょう。

そうはいっても、受験する学部の性質に関係がないことを全く書いてはいけないということではありません。例えば他の出願書類の中でも高校での学業に触れていなければ、この自己PR書の中に高校での成績の話や英検の取得級などをさらっと入れておくとよいでしょう。欠席がなく皆勤であることなども、決してメインの話にはなり得ませんが、字数に余裕があれば書いておくことで、健康で真面目な人間であることを表現することができます。

志望大学学部に直結するような活動実績がない人は、まずは細かいことでもいいので、自分の強みや成功体験をリストアップしてみてください。

そして、それらが自分の志望大学学部に繋がる要素にならないか検討してみましょう。

そして志望理由書など、他の提出書類と重複しない内容を選び出し、文章にしてみてください。