近畿大学文芸学部の総合型選抜入試の倍率や過去問を紹介
2025/05/23
関西の準難関私立大学群、産近甲龍のひとつである近畿大学。
近畿大学は「実学教育」と「人格の陶冶」を建学の精神とし、「人に愛され、信頼され、尊敬される」人づくりを教育の目的として、1925年創立の大阪専門学校と、1943年創立の大阪理工科大学を母体として、1949年に設立されました。創設者、世耕弘一の「学びたい者に学ばせたい」という信念をもとに、医学から芸術まで学ぶことのできる総合大学として発展しました。現在は15学部49学科が設置される総合大学となっており、西日本一帯に6つのキャンパスと水産研究所や原子力研究所など、様々な施設を有しています。
文芸部は、文学科、芸術学科、文化・歴史学科、文化デザイン学科の4つの学科で構成されています。他大学の文学部が扱うジャンルに「芸術」が加わっている点がユニークで、学部内で学べる領域が広いことが特徴です。哲学・倫理学・感性学のような思想、文化・歴史・言語・文学・芸術に関する知識と批判的視点、造形芸術・舞台芸術・文学作品の創造、さらにはそれらと社会・文化を結びつけることなど、様々な領域を学ぶことができます。
この記事では、そんな近畿大学文芸学部の総合型選抜入試について詳細を解説したいと思います!
◆近畿大学文芸学部の総合型選抜入試の名称
近畿大学文芸学部の総合型選抜入試は、「総合型選抜入試」という名称で募集がなされています。
◆近畿大学文芸学部のアドミッションポリシー
各大学学部のアドミッションポリシーは必ず読みましょう。大学側がどのような人材を求めているのかを把握し、そのための準備ができているかどうか自分を省みて試験対策をおこなっていく必要があります。
近畿大学の入試要項にはこのように書いてあります。
(入試要項より抜粋)
文芸学部は、近畿大学の「建学の精神」、「教育の目的」に則り、それにふさわしい人材を育成するため、以下のような意欲と能力を持つ人を入学者として受入れます。
選抜の方法は、学科専攻のアドミッション・ポリシーに則り、筆記試験と実技試験、口頭試問等によって、文芸学部で学ぶ意欲と能力を判定します。文芸学部では、文
学、歴史、文化、思想、芸術、コミュニケーションの知識や技能を身につけ、社会に対し創造的な貢献のできる人を育成します。
1 .文学、歴史、文化、思想、芸術、コミュニケーション等、人間の人文学的・精神科学的領域の探求に意欲を持つばかりでなく、広く自然科学の領域にも関心を持つ人。
2 .知識や技能を修得する能力だけではなく、新しい創造と発見に向けて自らを琢磨する意欲を持つ人。
3 .社会の中の一員としての責任を自覚し、公共的コミュニケーションを保ちつつ社会に寄与する人格の形成を目標とする人。
また、文芸学部に入学するまでに、以下のような科目を履修し、それぞれについて教科書に基づく知識を修得していることが望まれます。
国 語:日本語の読解力・表現力・論理的思考力、古文の基礎的能力
地歴・公民:日本史、世界史、地理、政治・経済の基礎的知識
数 学:数学Ⅰの基礎的能力
芸 術:音楽・美術・工芸・書道のいずれかを修得
外 国 語:英語のコミュニケーション・読解・表現についての基礎的能力
情 報:パソコン基本ソフトの活用力
入試要項のURL:
https://kindai.jp/exam/system/ao
◆出願条件・日程
近畿大学文芸学部の総合型選抜入試には、出願条件に制約があります。
・第1次審査出願期間: 2024年9月4日(水)~9月10日(火)
・第1次審査合格発表日: 10月9日(水)
・第2次審査出願期間: 10月9日(水)~10月18日(金)
・第2次審査試験日: 10月26日(土)
・第2次審査合格発表日: 11月7日(木)
出願条件は以下のとおりです。
文芸学部の出願条件は以下のとおりです。
また、「自己紹介書」や「志望理由書」などの書類も作成して提出する必要があります。
詳細は、入試要項で確認してください。
(https://kindai.jp/exam/system/ao/)
◆試験内容
試験内容は学科・専攻によって異なります。各学科・専攻の試験内容は以下のとおりです。
【文学科 日本文学専攻 創作・評論コース】
①第1次審査:書類選考
②第2次審査:小論文、口頭試問
①第1次審査:書類選考
第1次審査は、出願書類により総合的に評価され合否が決定します。
「自己紹介書」は、出願条件に関連する活動・資格・能力等について具体的に記述します。
「志望理由書」は、文学科 日本文学専攻 創作・評論コースを志望した理由、入学後何をしたいか、将来の目標などについて1200字以内で記述します。
また、文学科 日本文学専攻 創作・評論コースでは、個別出願条件として「創作・評論・編集について真剣に学ぼうとする人」が求められており、文章表現に関わる分野(小説・詩・論文・新聞製作等)で優秀な実績を有することを証する資料や作品を提出する必要があります。
②第2次審査:小論文、口頭試問
第1次審査の合格者に対し、第2次審査では小論文と口頭試問が課されます。小論文の試験時間は60分です。2024年度入試では、「書店員になったつもりで、秋の読書週間に合わせた特集コーナーのテーマを決め、それにふさわしい本を10冊選んで、それぞれの本の紹介文を60~100字程度で書きなさい」という問題と、5つの短い文章が与えられ、そのうちの一つの文章を選んだうえで、それについて賛成または反対の理由を800~1000字程度で記述させる問題が出題されました。詳細は、大学HPに過去問が掲載されていますので、確認して対策しましょう。
(https://kindai.jp/exam/system/ao/)
【芸術学科 舞台芸術専攻】
①第1次審査:書類選考
②第2次審査:小論文、口頭試問
①第1次審査:書類選考
第1次審査は、出願書類により総合的に評価され合否が決定します。
「自己紹介書」は、出願条件に関連する活動・資格・能力等について具体的に記述します。
「志望理由書」は、芸術学科 舞台芸術専攻を志望した理由、入学後何をしたいか、将来の目標などについて1200字以内で記述します。
また、芸術学科 舞台芸術専攻では、個別出願条件として「演劇・ダンスなどの活動やそれら関連領域において極めて優れた成績を収め、入学後も専門分野において真剣に取り組む人」が求められており、次の(1)または(2)の条件に該当することを証する資料や作品を提出する必要があります。
(1)活動を証明できる活動記録やmp4の映像データを有する人
(2)活動や関連領域において優秀な実績を有する人
②第2次審査:小論文、口頭試問
第1次審査の合格者に対し、第2次審査では小論文と口頭試問が課されます。小論文の試験時間は60分です。2024年度入試では、「舞台芸術」と「表現の自由」との関係について、どのように考えるか1200字以内で記述させる問題が出題されました。詳細は、大学HPに過去問が掲載されていますので、確認して対策しましょう。
(https://kindai.jp/exam/system/ao/)
【芸術学科 造形芸術専攻】
①第1次審査:書類選考
②第2次審査:プレゼンテーション、質疑応答
①第1次審査:書類選考
第1次審査は、出願書類により総合的に評価され合否が決定します。
「自己紹介書」は、出願条件に関連する活動・資格・能力等について具体的に記述します。
「志望理由書」は、芸術学科 造形芸術専攻を志望した理由、入学後何をしたいか、将来の目標などについて1200字以内で記述します。
また、芸術学科 造形芸術専攻では、個別出願条件として「一般の入試では十分に発揮することができないユニークな能力や素質を持ち、明確な目標に向かって邁進する人、美術、工芸、デザインの芸術活動を通して優れた成績を収めた人」が求められており、「ポートフォリオ(作品ファイル1冊のみ、A4判)」を事前に提出する必要があります。「ポートフォリオ」の内容は、デッサン、作品(題名、制作年、大きさ、素材、作品のコンセプトをつけること)、その他自己アピールできるものです。「ポートフォリオ」のデータ提出は不可で、作品の写真や印刷したものを「ポートフォリオ」にまとめます。破損の恐れがあるため、表紙・裏表紙への立体的な装飾は不可ですが、紙・布・マスキングテープなどのコラージュ(平面的装飾)によるデザインは可です。
②第2次審査:プレゼンテーション、質疑応答
第1次審査の合格者に対し、第2次審査ではプレゼンテーションと質疑応答が行われます。
プレゼンテーションは、「自分の好きな美術作品について」と「自分の作品について」の2点をテーマとして、PowerPointで行います。時間は20分です。
プレゼンテーションに続いて行われる質疑応答では、第1次審査で提出した書類などについて質問されます。第1次審査で提出したポートフォリオの中から、現物を持参する必要があります。持参作品数は5点まで、平面作品は160cm×130cm(100号)以下、半立体・立体作品は3辺合計150cm以下のサイズとし、試験場まで自分が運べる作品であることが条件となっています。
【文化・歴史学科】
①第1次審査:書類選考
②第2次審査:小論文、口頭試問
①第1次審査:書類選考
第1次審査は、出願書類により総合的に評価され合否が決定します。
「自己紹介書」は、出願条件に関連する活動・資格・能力等について具体的に記述します。
「志望理由書」は、文化・歴史学科を志望した理由、入学後何をしたいか、将来の目標などについて1200字以内で記述します。
また、文化・歴史学科では、個別出願条件として「日本史・世界史・考古学・ジェンダー論等の分野で高い研究意欲を持ち、かつ教育・研究の柱の一つである「文化資源学」系の科目群が意図する、「学びの過程や成果を地域や社会に還元する」という主旨に合致する学生」が求められており、次の(1)から(4)のいずれかに該当し、そこに記された活動等について客観的に証明できる資料や報告書等を提出する必要があります。
(1)伝統文化や地域文化の保存・継承に対して強い関心をもち、実践的活動を 行っている者
(2)地域の活性化や災害復興にかかわる事業や活動に主体的に参加している者
(3)その他、ボランティア活動やワークショップなど社会の具体的な課題解決を 目指す活動に主体的に参加している者
(4)本学科の「4つの系」の科目群の、いずれかの分野で秀でた成績を残し、大学 院進学の意思を含む高い学習意欲を持つ者
求められる資料・報告書類の例は以下のとおりです。
・(1)(2)(3)に該当する者については、「自身および所属団体の活動記 録や活動報告、団体の代表者等による推薦状」「顕著な活動に対する何らかの 機関や団体からの表彰や文書等による認定」「独自の取り組みについての新 聞・テレビ等による報道の証明」など。
・(4)に該当する者については、「歴史検定、世界遺産検定、日本漢字能力検 定や語学系の検定等の2級以上の証書の写し」「当該分野の基礎的研究を踏まえ た上で、自らの取り組みのユニークさや専門性の高さを証明できるような研究 報告や論文」など。
②第2次審査:小論文、口頭試問
第1次審査の合格者に対し、第2次審査では小論文と口頭試問が課されます。小論文の試験時間は60分です。(過去問データなし)
【文化・デザイン学科】
①第1次審査:書類選考
②第2次審査:プレゼンテーション、グループディスカッション
①第1次審査:書類選考
第1次審査は、出願書類により総合的に評価され合否が決定します。
「自己紹介書」は、出願条件に関連する活動・資格・能力等について具体的に記述します。
「志望理由書」は、文化・デザイン学科を志望した理由、入学後何をしたいか、将来の目標などについて1200字以内で記述します。
また、文化・デザイン学科では、個別出願条件として「デザインやプロデュースに関わる幅広いジャンルでリーダーシップや企画力を発揮してきた実績がある人」が求められており、「ポートフォリオ」を事前に提出する必要があります。「ポートフォリオ」は、以下の(1)、(2)に関連する資料をまとめて作成します。(1)、(2)のすべての要素を満たす必要はありません。
なお、「ポートフォリオ」は、(1)や(2)の事例を、ただ羅列するだけではなく、その意図や目的や達成度などを軸に、事例を相互に結びつけて一貫したかたちで説明したものを指します。また、「ポートフォリオ」に組み込む資料はすべて授業外(高等学校などのカリキュラム・クラブ活動以外)の活動で出願者が主体的に取り組んだものに限ります。
(1)作品、企画の立案と実施、ボランティア活動、地域コミュニケーションな ど、広くデザインやプロデュースに関わるユニークな取り組みの成果や実 績。
(2)顕著な活動に対する何らかの機関や団体からの表彰、新聞・テレビなどによ る報道など。
また、TOEFL®、TOEIC®、実用英語技能検定、中国語検定、簿記検定など、関連する能力や資格を証明する資料がある場合には、「ポートフォリオ」とは別にコピーなどをまとめて提出します。
②第2次審査:プレゼンテーション(10分)、グループディスカッション
第1次審査の合格者に対し、第2次審査ではプレゼンテーションとグループディスカッションが課されます。
プレゼンテーションは、「わたしは文化デザイン学科に◯◯をもたらすことができる」というテーマでプレゼンテーションを行います。◯◯には任意の言葉を入れてタイトルを完成させ、学科に対する理解、自分の性質、能力、スキル、これまでの具体的な経験や実績を踏まえてプレゼンテーションを行います。なお、プレゼンテーションはPowerPointで行います。時間は10分です。スライドの枚数は自由です。なるべく写真や画像などを用いて、視覚的にもわかりやすく、かつ独創性のある内容にしましょう。内容はもちろん、スライドの構成やデザイン、話し方も審査の対象となります。審査員の方を向いて話すことができるよう、練習してから臨みましょう。なお、成果物や作品現物がある場合は、1、2点に絞って持ち込むことが可能です。
プレゼンテーションに続き、20分間の質疑応答が行われます。
グループディスカッションは、面接当日に提示される題目についてしばらく考えた後、それぞれの意見を述べ、受験者相互でディスカッションを行ないます。
題目の例としては、「病院における快適な環境に必要なものはなにか。」「街を走る「シティサイクル」に現在足りないものはなにか。」といったものが挙げられます。
◆募集人員・倍率情報
募集人員は
文学科日本文学専攻 創作・評論コース、芸術学科舞台芸術専攻、芸術学科造形芸術専攻、文化・歴史学科、文化デザイン学科、全学科で20名以内です。
倍率は
※「-」は合格者なし、2022年度入試はデータが見つからないため空欄です。
倍率のデータは入試要項から転記しています。https://kindai.jp/exam/system/ao/
2024年度入試 | 2023年度入試 | 2022年度入試 | |
文学科日本文学専攻創作・評論コース | 3 | – | |
芸術学科舞台芸術専攻 | 8.3 | 3 | |
芸術学科造形芸術専攻 | 5.4 | 4.7 | |
文化・歴史学科 | – | – | |
文化・デザイン学科 | 4 | 15 |
出願条件が比較的易しいところに対し、倍率もそれほど高くないので、是非チャレンジしていただきたい入試です。
以上、近畿大学文芸学部の総合型選抜入試についてご紹介しました。
オーソドックスな試験なだけに、面接で語る内容で差がつく可能性があります。
自分がどんな未来像を持っており、それはどのような原体験から生まれた理想で、その理想を実現するために今、そして大学で何を学ぶのか。
話の中からこのようなストーリーを感じられる受験生に、面接官は納得し、魅力を感じます。
★近畿大学の他の学部の情報をチェックしたい方は https://sogogata-concierge.com/column/kinki-univ/
★無料の面談サービスを利用して、総合型選抜の塾選びの相談をしたい方は https://sogogata-concierge.com/column/about-introduction-service/