総合型選抜は自己分析から始まる

「総合型選抜の対策は、まず自己分析から始めよう」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?

しかし、なぜ自己分析が必要なのか、その理由や目的を深く理解しないまま開始してしまうと非効率が発生したり、入試で役立たない自己分析になってしまったりします。

この記事では、総合型選抜入試での合格を目指そうとしている受験生に向けて、自己分析をする意味と、効果的な方法を紹介していきます。

なぜ自己分析が必要なのか

総合型選抜入試で求められる人物像として、どんな大学でも共通していることは「その大学で学びたいという強い意志があり、具体的に研究したい内容が構想できている」人物です。

大学側は、その学生が自分の大学に入って入学したあとに、しっかり研究をしてくれるのか、その成果を出せそうか、そして大学卒業後に社会に貢献できる人物になり得るかを、書類や面接を通して確認しています。

受験生側は、説得力を持って大学に自分を売り込む必要があります。

A「私は貴学に入れたら〇〇の研究がしたいです」

B「私は貴学に入れたら〇〇を研究し、〇〇という社会課題を解決したいです」

C「私は貴学に入れたら〇〇を研究し、〇〇という社会課題を解決したいです。以前〇〇な経験をしたときに問題意識を持ったからです。」

D「私は貴学に入れたら〇〇を研究し、〇〇という社会課題を解決したいです。以前〇〇な経験をしたときに問題意識を持ったからです。困難にぶつかっても自分の〇〇な長所を活かして克服しています」

AさんからDさんまでの発言で、最も説得力があるのは当然Dさんですよね。

自分がやりたいことを語るのは当然大切です。

そこに『なぜやりたいと思ったのか、どんな原体験があるのか、それをやるためにどんな志や武器を持っているのか』が加わることで、相手を説得できるストーリーが初めて生まれます。

それらは自己分析ナシにはなかなか自覚することができないものが多いのです。

つまり、自己分析は、大学側に「説得力のあるあなたオリジナルのストーリー」を伝えるために不可欠な要素なのです。

自己分析の種類

総合型選抜対策として実施しなければならない自己分析を、当サイト独自の分類で紹介します。

➀問題意識分析

②興味好奇心分析

③ロールモデル分析

④自己特性分析

の4種類が総合型選抜において必要となる自己分析です。

➀問題意識分析

すべての学問は社会を良くするために存在すると言っても過言ではありません。

自己満足のための学びもあるでしょうが、研究を通して人間社会をより良くしていくために様々な学問領域が誕生しています。

つまり、大学での研究は、ほとんどが「社会課題の解決」に繋がっています。

言い換えれば、みなさんは社会課題を解決するために大学に入学して研究をするとも言えるわけです。

そこで重要なのが「あなたが課題を感じる社会問題は何か」という視点です。

つまり、世の中のどのようなことに、どのような問題意識を持っているのか。これが重要です。

例えば、南極の氷が溶けてホッキョクグマの生息地が減少していることに強く心を痛める人がいるかもしれません。

独居老人が孤独死を遂げたニュースを見て、それをなんとかできないものかと悩んだことがある人がいるかもしれません。

普段生活する中で、自分がどのようなことに課題や問題意識を持つのか、是非考えてみてください。

具体的な方法は、簡単なところでは新聞・ニュースに日々しっかりアンテナを張り、自分の心が動かされるものがないか調べてみてください。

このときにオススメなのは「少し気になったことを深堀りしてみる」姿勢です。

ニュースを見て、その瞬間から、それが自分が人生を賭けて解決すべき課題だと奮い立つ人はいないでしょう。

「あ、これは気になるな」と少し引っ掛かるものがあったとき、是非それをさらに調べてみてください。ネット検索もよし、知人と討論してみるもよしです。

深く知っていく中で、どんどんそれを追求したい気持ちが出てきたら、それがあなたにとって大切な問題なのかもしれません。

②興味好奇心分析

上記のように問題意識や課題解決の意志はなくても「とにかく〇〇が好き」という人もいます。それももちろんアリです。

自分の興味・好奇心をくすぐられるものがないか内省してみることも自己分析の1つの手法です。

例えば「アニメが好き」という人がいたとします。

「好き」なだけで終われば、それは趣味であり、学問にはなりません。

しかし「なぜアニメがこんなに人を魅了するのか知りたい」「アニメはどういう歴史をたどってきたのか知りたい」「アニメがどのように世界に広まっているのか知りたい」とアニメについてもっと深く知りたいという気持ちがあれば、それは学問領域に足を踏み込んでいくことになります。

自分が興味・好奇心を持って没頭できるものがある人は、それをさらに深堀りして研究したとしたら、どんな研究ができるかを1度考えてみるといいでしょう。

また調べてみると、一見趣味のように見えることを懸命に研究している大学教授もたくさんいます。そういった教授のプロフィールなどを調べてみると参考になることもあるかもしれません。

③ロールモデル分析

②と少し似ていますが、一言で言うと「あの人みたいになりたい」と思う憧れの人物=ロールモデルを探してみる方法です。

起業家でも、環境活動家でも、政治家でも、世の中にはエネルギッシュに活動している大人がたくさんいます。「自分のあんな風になれたらな」と思う純粋な気持ちは大切です。

もしそのような人が見つかれば、その人がやっていること、学んできたことなどを調べてみると、大学で自分が何を学ぶべきかも見えてくることがあります。

また、自分が今から行動すべきことや、心がけるべきことなども、かなり具体的にイメージしやすいのが、このロールモデル分析の良いところです。

もちろんロールモデルをただ模倣するだけでは、総合型の入試的にも、自分の充実度的にも、本質的なものにはなりません。

例えば、その人物と手法は一緒だけど分野を変えるとか、逆に分野は同じだけどアプローチを変えるとか、自分らしさに基づいた方向性が見えると良いでしょう。

ロールモデルの見つけ方も、まずは日々情報のアンテナを張ることです。テレビの特集などで発見することもあれば、書店で目に留まった本の著者であることもあるかもしれません。

また自分の興味領域がある程度決まっている人であれば、その分野のエキスパートを片っ端から調べてみるのもよい方法です。

さらに数名ロールモデルが見つかったら、その人のSNSをフォローして活動をチェックしたり、機会があれば講演会などで直接話を聞ける場に出向くこともアリです。

④自己特性分析

一般的に「自己分析」と言われるものは、この自分の性質を理解する分析を指します。

自分の強み、弱み、性格などを客観的に把握しておくことで、自分の進路が充実したものになる可能性が高まります。

例えば「やりたいことだけど、自分の強みが発揮できないこと」はやりたい気持ちは強いのになかなか上手くいかない場面が多く、途中で心が折れる可能性があります。

「感性を大事にするタイプなのに、全部数字で理屈を組み立てなければいけないことばかり」だと、気持ちが前向きになれず疲れてしまうかもしれません。

自分の特性とやりたいことのマッチングが良ければ、それを長く楽しく続けられるようになりますが、そうでなければネガティブな状態に陥るリスクがあります。

「自分は〇〇なことに喜びを感じる人間で、〇〇な強みがあり、それがこの研究を進めていくうえでばっちりハマるんです!」ということになれば、自分の充実に繋がるだけでなく、総合型選抜における説得力の強化にも繋がるでしょう。

そのために、自分を知ることは重要です。

自分を知る方法には様々な方法があります。

・モチベーショングラフを描いて、自分が過去にどのように困難を乗り越えたか=どんな強みを使って対処したか書き出してみる

・性格診断(エニアグラム、ストレングスファインダーなど)を使ってみる

ネットで少し検索すると、WEBテストでできる就職活動生向けの性格診断がたくさんヒットします。そのようなものを利用してみるのも良いでしょう。

今回は自己分析の意義と、その具体的な分類・手法を紹介しました。

これまで自分のことを深く知ろうと時間をかけたことはあまりないと思いますが、総合型選抜の対策は、ひとつのいい機会です。

受験のためではなく、自分の人生の充実につながる、意味のある行為です。

自分の理想の未来をつくるために、自己分析にトライしてみてくださいね!